こんにちは!rujiAです!
本日も、一部で話題のハイエンド機、Dicodes社のNo.6の解析記事の続きです!

さて、今日はサクサク行きましょう!
前回は、
・本MODは降圧時になにか制御的な小技を使ってるっぽい!
→その小技のおかげで、味の濃さを実現してるのではないだろうか。
→エリッヒさん(仮名)すごい。
と言った感じで次回へ続く、としたわけですが、
今回は、BreathingTest によるレスポンス評価の結果と、
計測波形を踏まえながら、その辺の小技について、
制御設計の観点から妄想考察してみたいと思います。
それでは、参りましょう!
■過去記事■
[Mod Analysis]Dicodes No.6 Vol.1 - 語句解説
[Mod Analysis]Dicodes No.6 Vol.2 - コットンバーンテスト
[Mod Analysis]Dicodes No.6 Vol.3 - [vsDNA40]TC波形
2.Dicodes No.6解析レポート
2-3.[vsDNA40]Breathing Testによる制御レスポンス評価

波形計測の結果からいうと、以下の事が言えます。
・息を吹きかけてからの応答性(レスポンス)に関しては、
本MODも、DNA40も、同等レベルと言える。
・ピーク出力は、DNA40の方が高い。
→但し、本MODは前回記事で解説したとおり、降圧波形が緩やか。
→故に、ピークは低いものの、要求性能としては双方問題ないレベルである。
・外乱印加(息吹きかけ)後の収束性能は、Dicodes圧勝!
これを表にまとめると、レポートの表(下表)になるわけです。

比較した際の本MODの特徴としては、収束速度が速い!ということが言えるわけです。
何故か?というところを考えると、
前回記事でも話題に上げた、降圧時の出力波形に違いが有ることがわかります。

ちょっと丁寧に解説すると、
DNA40は息の吹きかけでコイル温度の低下を検知した後、
高いピーク電圧にむかって一気に昇圧していますが、
その後の降圧時に、大きく出力がアンダーシュートしています。

これは、この場面だけ切り取って言うと、
DNA40はPID制御のP項とD項がハイゲイン過ぎ(≒張り切りすぎ)て
温度を上げ過ぎちゃっている、といえます。
毎度おなじみの車の運転に例えると、
高速道ををクルージング中に、
前のペースの遅い車を一気に抜こうと思ったら、
必要以上にアクセルを踏みすぎちゃって、
前走者を抜いた後にブレーキも併用して減速している
ような感じとでもいいましょうか。
対して、本MODの波形は、コイル温度が安定したと思われる
後半の3回については、目立ったアンダーシュートがありません。

こちらは、まるで絶妙なアクセルワークで、節度よく踏んで、
じんわりアクセルをリリースしながら優しく元のクルーズ速度に収束させる感じ。
実にエレガントですね。
これを、実際にどうソフトウェアにどの様にやらせているのか、というと、
そう!vol.1の解析記事で書いた、
フィードフォワード制御を使用している!と推測しています。
昇圧時→高圧時のDNA40の波形の拡大図が、こちらです。

昇圧時と降圧時の波形が、同じような傾きです。
これは、一般的な普通のPID制御の特徴で、
電圧を上げる時も、下げる時も、同じゲイン(=加減)で
コントロールする制御系であると推測できます。
eVolvの当時の設計思想では、
「普通のPID制御でも、セッティングの努力だけで十分TC出来るさ!」
という考え方だったのだろうと思います。
当時のDNA40はTC-MODの思うのトップバッターですからね。
まずはベーシックな制御系で!というのは、理解できる考え方です。
例えると、

「アクセルの加減も、ブレーキの加減も、俺の操作速度なら、
同じ位の調整加減でやれば、ドライブできるさ!
…そう思っていた時期が僕にも有りました」
しかし、後発のDicodesのエリックさん(仮名)は違います!
「コイルってのはなぁ!
降圧するときの職人の微妙な加減が大事なんだ!」
と言ったかどうかはわかりませんが、
Dicodesの波形はこちらです。

DNAと比べると、昇圧の山の高さが低いことも有りますが、
一番の特徴は、ピークを境に、左右非対称な傾きである、ということです。
そのおかげで、降圧時に、アンダーシュートが殆ど無いという、
制御系においては理想の波形を実現しています。
実にエレガント。
この、非対称な傾きですが、単純なPID制御では実現することが不可能です。
従って、私の推測では、Dicodesは、
・昇圧時は、フィードバック制御(PID)のみ。
・降圧時は、 フィードフォワード制御+弱めのフィードバック制御の協調制御
というように、昇圧時と高圧時で、制御ロジックを持ち変えるような、
少し凝った制御系(小技)をするように設計していると考えています。
例えるならば、

「加速するときは、スピードメーターを見ながらアクセル踏んで、
減速するときは、スピードも横目で見つつ、
タコメータやエンジンの音を聞きながら、アクセルをゆっくり抜く。
…それが上質な車内空間を生むのさ!」
…といった芸当をして、無駄な減速G(=薄いミストの発生) を最小限にする、
といったことをしているようなイメージですね。
ゆっくり減速することを考えると、追い越しのための
アクセルの踏み込みも最小限でいい…
そんな感じです。
どちらのほうが、車両(コイル)挙動が安定しているか、
おわかりいただけると思います。
もしかしたら、ハイゲインのDNA40の方が、
冷却したコイルが再び目標温度に到達するスピードは速いのかもしれません。
しかし、私は、TCのメリットは、ミスト濃度の安定とドライコットンの防止
の2つにあると考えています。
だから、ミスト濃度を安定させるために、
ピーク電圧を低くして、出力の変動をなるべく抑える、という
Dicodesの設計思想は、eVolvよりも私の理想のTCに近いと考えます。
制御設計にフィードフォワード制御も取り入れる、という思想は、
今後のTC制御開発において、トレンドになっていくだろうと思います。
では、次行きましょう!
2-4.VW波形計測

結論から言うと、VWは普通のMODです!w
特に優れている点は無いと思います。
VWに関しては、過去のDNA40計測の結果と比べると、
DNA40の方が優っていると言えるかもしれませんね。
出力設定を高くすると、
それに応じて、通電可能時間も短くなるように
制御設計しているようです。
もしかしたら、TC時の高精度なリアルタイム出力調整を可能な
DC-DCコンバータだと、VWの精度がトレードオフに
なったりするのかなぁ?と考察しております。
2-5.[総括]Dicodes No.6
長ったらしいので、カットしますw
言いたいことは、このあとの3.まとめで書きたいと思います。
レポートの総括をお読みになりたい方は、
VAPECHKさんの下記販売ページから
私のレポートが全部読めますので、そちらからどうぞ。w
Dicodes No.6販売ページ@VAPECHK

以上で、レポート解説終了です!
3.まとめ
Dicodes No.6の解析記事、いかがだったでしょうか?
私としては、制御波形から制御設計者のVape愛が感じられて、
大満足の解析でしたw
私としては、今後フィードフォワード制御を
もっと積極的に使ったTC-modの登場に期待しています。
Vol.1の記事で、フィードフォワード制御の挿絵に、
スイカ割りしてる間抜けな感じの画像を使ってしまったので、
FF制御にいい印象を持っていない方が多いかも?と思っていますが、
私の考えでは、究極の制御は、
FF制御メインの弱FB制御との協調を、全域で行う制御だと思っています。
なぜならば、FF制御は、テキトーに作ってしまうと、"やりっぱなし"に
なってしまいますが、
条件を絞って完璧に制御ができれば、
”未来予測制御”と呼べる完成度になるからです。

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本日も、一部で話題のハイエンド機、Dicodes社のNo.6の解析記事の続きです!

さて、今日はサクサク行きましょう!
前回は、
・本MODは降圧時になにか制御的な小技を使ってるっぽい!
→その小技のおかげで、味の濃さを実現してるのではないだろうか。
→エリッヒさん(仮名)すごい。
と言った感じで次回へ続く、としたわけですが、
今回は、BreathingTest によるレスポンス評価の結果と、
計測波形を踏まえながら、その辺の小技について、
制御設計の観点から
それでは、参りましょう!
■過去記事■
[Mod Analysis]Dicodes No.6 Vol.1 - 語句解説
[Mod Analysis]Dicodes No.6 Vol.2 - コットンバーンテスト
[Mod Analysis]Dicodes No.6 Vol.3 - [vsDNA40]TC波形
2.Dicodes No.6解析レポート
2-3.[vsDNA40]Breathing Testによる制御レスポンス評価

波形計測の結果からいうと、以下の事が言えます。
・息を吹きかけてからの応答性(レスポンス)に関しては、
本MODも、DNA40も、同等レベルと言える。
・ピーク出力は、DNA40の方が高い。
→但し、本MODは前回記事で解説したとおり、降圧波形が緩やか。
→故に、ピークは低いものの、要求性能としては双方問題ないレベルである。
・外乱印加(息吹きかけ)後の収束性能は、Dicodes圧勝!
これを表にまとめると、レポートの表(下表)になるわけです。

比較した際の本MODの特徴としては、収束速度が速い!ということが言えるわけです。
何故か?というところを考えると、
前回記事でも話題に上げた、降圧時の出力波形に違いが有ることがわかります。

ちょっと丁寧に解説すると、
DNA40は息の吹きかけでコイル温度の低下を検知した後、
高いピーク電圧にむかって一気に昇圧していますが、
その後の降圧時に、大きく出力がアンダーシュートしています。

これは、この場面だけ切り取って言うと、
DNA40はPID制御のP項とD項がハイゲイン過ぎ(≒張り切りすぎ)て
温度を上げ過ぎちゃっている、といえます。
毎度おなじみの車の運転に例えると、
高速道ををクルージング中に、
前のペースの遅い車を一気に抜こうと思ったら、
必要以上にアクセルを踏みすぎちゃって、
前走者を抜いた後にブレーキも併用して減速している
ような感じとでもいいましょうか。
対して、本MODの波形は、コイル温度が安定したと思われる
後半の3回については、目立ったアンダーシュートがありません。

こちらは、まるで絶妙なアクセルワークで、節度よく踏んで、
じんわりアクセルをリリースしながら優しく元のクルーズ速度に収束させる感じ。
実にエレガントですね。
これを、実際にどうソフトウェアにどの様にやらせているのか、というと、
そう!vol.1の解析記事で書いた、
フィードフォワード制御を使用している!と推測しています。
昇圧時→高圧時のDNA40の波形の拡大図が、こちらです。

昇圧時と降圧時の波形が、同じような傾きです。
これは、一般的な普通のPID制御の特徴で、
電圧を上げる時も、下げる時も、同じゲイン(=加減)で
コントロールする制御系であると推測できます。
eVolvの当時の設計思想では、
「普通のPID制御でも、セッティングの努力だけで十分TC出来るさ!」
という考え方だったのだろうと思います。
当時のDNA40はTC-MODの思うのトップバッターですからね。
まずはベーシックな制御系で!というのは、理解できる考え方です。
例えると、

「アクセルの加減も、ブレーキの加減も、俺の操作速度なら、
同じ位の調整加減でやれば、ドライブできるさ!
しかし、後発のDicodesのエリックさん(仮名)は違います!
「コイルってのはなぁ!
降圧するときの職人の微妙な加減が大事なんだ!」
と言ったかどうかはわかりませんが、
Dicodesの波形はこちらです。

DNAと比べると、昇圧の山の高さが低いことも有りますが、
一番の特徴は、ピークを境に、左右非対称な傾きである、ということです。
そのおかげで、降圧時に、アンダーシュートが殆ど無いという、
制御系においては理想の波形を実現しています。
実にエレガント。
この、非対称な傾きですが、単純なPID制御では実現することが不可能です。
従って、私の推測では、Dicodesは、
・昇圧時は、フィードバック制御(PID)のみ。
・降圧時は、 フィードフォワード制御+弱めのフィードバック制御の協調制御
というように、昇圧時と高圧時で、制御ロジックを持ち変えるような、
少し凝った制御系(小技)をするように設計していると考えています。
例えるならば、

「加速するときは、スピードメーターを見ながらアクセル踏んで、
減速するときは、スピードも横目で見つつ、
タコメータやエンジンの音を聞きながら、アクセルをゆっくり抜く。
…それが上質な車内空間を生むのさ!」
…といった芸当をして、無駄な減速G(=薄いミストの発生) を最小限にする、
といったことをしているようなイメージですね。
ゆっくり減速することを考えると、追い越しのための
アクセルの踏み込みも最小限でいい…
そんな感じです。
どちらのほうが、車両(コイル)挙動が安定しているか、
おわかりいただけると思います。
もしかしたら、ハイゲインのDNA40の方が、
冷却したコイルが再び目標温度に到達するスピードは速いのかもしれません。
しかし、私は、TCのメリットは、ミスト濃度の安定とドライコットンの防止
の2つにあると考えています。
だから、ミスト濃度を安定させるために、
ピーク電圧を低くして、出力の変動をなるべく抑える、という
Dicodesの設計思想は、eVolvよりも私の理想のTCに近いと考えます。
制御設計にフィードフォワード制御も取り入れる、という思想は、
今後のTC制御開発において、トレンドになっていくだろうと思います。
では、次行きましょう!
2-4.VW波形計測

結論から言うと、VWは普通のMODです!w
特に優れている点は無いと思います。
VWに関しては、過去のDNA40計測の結果と比べると、
DNA40の方が優っていると言えるかもしれませんね。
出力設定を高くすると、
それに応じて、通電可能時間も短くなるように
制御設計しているようです。
もしかしたら、TC時の高精度なリアルタイム出力調整を可能な
DC-DCコンバータだと、VWの精度がトレードオフに
なったりするのかなぁ?と考察しております。
2-5.[総括]Dicodes No.6
長ったらしいので、カットしますw
言いたいことは、このあとの3.まとめで書きたいと思います。
レポートの総括をお読みになりたい方は、
VAPECHKさんの下記販売ページから
私のレポートが全部読めますので、そちらからどうぞ。w
Dicodes No.6販売ページ@VAPECHK

以上で、レポート解説終了です!
3.まとめ
Dicodes No.6の解析記事、いかがだったでしょうか?
私としては、制御波形から制御設計者のVape愛が感じられて、
大満足の解析でしたw
私としては、今後フィードフォワード制御を
もっと積極的に使ったTC-modの登場に期待しています。
Vol.1の記事で、フィードフォワード制御の挿絵に、
スイカ割りしてる間抜けな感じの画像を使ってしまったので、
FF制御にいい印象を持っていない方が多いかも?と思っていますが、
私の考えでは、究極の制御は、
FF制御メインの弱FB制御との協調を、全域で行う制御だと思っています。
なぜならば、FF制御は、テキトーに作ってしまうと、"やりっぱなし"に
なってしまいますが、
条件を絞って完璧に制御ができれば、
”未来予測制御”と呼べる完成度になるからです。
反対に、フィードバック制御は、
結局は「起こった事実」に対してしか動けないので、
どうしても制御内容が後手になってしまうという
仕組み上の限界があります。
ましてや、リキッドでひたひたのコットンなんて、
マイコンの処理速度と比べるとゆっくり温度が伝わるので、
温度の計測周期を高速にしても、やっぱりFB制御では限界があります。
なので、現在の更に良いTCシステムを、テクニカルMODに求めるならば、
過去と現在から、ある程度確定的な未来を推定して、
FF制御をメインにしないとこれ以上のTC機能の進化は望めないと考えます。
そして、予定調和とズレてる!となった時に、
目標を修正するために、弱めにFB制御を利かせる制御こそが、
究極のTC制御である!と考えています。
そういった意味では、本Dicodes No.6は、
一歩踏み込んだシステムを搭載した、革新的な1台だといえると思います!
以上で本MODの解析記事を終わります!
Dicodes No.6販売ページ@VAPECHK

結局は「起こった事実」に対してしか動けないので、
どうしても制御内容が後手になってしまうという
仕組み上の限界があります。
ましてや、リキッドでひたひたのコットンなんて、
マイコンの処理速度と比べるとゆっくり温度が伝わるので、
温度の計測周期を高速にしても、やっぱりFB制御では限界があります。
なので、現在の更に良いTCシステムを、テクニカルMODに求めるならば、
過去と現在から、ある程度確定的な未来を推定して、
FF制御をメインにしないとこれ以上のTC機能の進化は望めないと考えます。
そして、予定調和とズレてる!となった時に、
目標を修正するために、弱めにFB制御を利かせる制御こそが、
究極のTC制御である!と考えています。
そういった意味では、本Dicodes No.6は、
一歩踏み込んだシステムを搭載した、革新的な1台だといえると思います!
以上で本MODの解析記事を終わります!
Dicodes No.6販売ページ@VAPECHK


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