VAPE MOD研究所

電子タバコのMODの計測と評価…というニッチなジャンルの日記

2015年07月

こんにちは!rujiAです。
 
本日は、Hcigar社HB40のレビューと解析を行います!

01 外観



このHB40は、Twitterで仲良くして頂いている、
うふふのけいちゃんに提供して頂きました。

このHB40は、DNA40という制御基板が搭載されています。
DNA40といえば、基本的に1万円超えの高級MODに搭載される
高級制御基板

そんなDNA40を搭載したHB40を惜しげも無く貸与していただいたけいちゃんには、
感謝してもしきれない程感謝しております!

けいちゃんには、その感謝を表して大量の宇都宮餃子を送らせて頂きました。

02まさし


けいちゃん、ありがとうございます!


1.HB40概要
 
 HB40は冒頭で述べたとおり、中国のHcigar社の製品です。
 
その最大特徴は、温度制御(以下TC:Temperature Control)基板の
先駆者にして決定版である、Evolv社のDNA40を搭載していることでしょう。

03 Evolvロゴ


そして、このDNA40を搭載していながら、
価格を抑えていることも大きな特徴の一つです。

本Blogで以前記事にした、miniVFVFCloneのTC基板である、
Kangxin社のKXシリーズは、こちらのDNA40を参考にして
作られた制御基板になります。
 
安価なTC制御MODには、オリジナルのDNA40ではなく、
KXシリーズのような、DNAの機能を模した中国製基板が使われていることが
ほとんどです。

しかし、このHB40は、オリジナルの基板を使っていながらにして、
他のDNA40搭載MODのに比べ、発売当時は飛び抜けて安かったことから、
日本のVaporの間でも人気となりました。

2.外観等

BT50と並べてみました。

04 正面比較



使っているとそんなに気になりませんが、HBの方が少し背が高いんですね。


上から比較。

05あつみ



厚みはほぼ同じくらいです。





電池蓋は、強力なマグネットによって固定されています。

06裏蓋

初めてマグネット蓋のタイプのMODを使いましたが、
なかなか良いですね!
電池がなくなっても、スペアの電池に
ストレスフリーで交換できます。最近のMODのの主流になる理由がわかります。

ちなみに、本体側のマグネットが、蓋の方にくっついて、取れてしまう
という不具合が結構あるようですが、このHB40ももれなく取れてしまいました。
 
でも、アロンアルファで一度くっつけたら、それ以来とれてくることはありません。
快適そのものです。


あとは、特徴的な部分としては、MODの側面でなく、
正面に、操作スイッチ類や液晶が配置されています。

07サイドスイッチ

 実際に使うまでは、「どうかなぁ~」と思っていましたが、
使ってみると、親指のちょうどいい位置にパフボタンがくるので、
なかなか馴染みます。


 3.波形解析(TC)

では、本Blogメインコンテンツの波形解析です。

08計測風景


まずはTC時の波形解析から行います。

使用したコイルは、Ni20028G11回巻き0.12[ohm]のものを使用しました。

0900 USA


これをHB40で読み込むと…
0901 HB40coil


0.15[ohm]…。
0.03[ohm]ほどオフセットしてしまっています。
 
他の方のDNAの抵抗表示値が、もっと正確なことを考えると、
おそらくは基板ではなく、基板から510コネクタに至るまでの
電流経路に、ボトルネックになっているところがあるんだと思います。

多分、Twitterで話題になった、例のボディアースの箇所かと思いますが…
ひとまずは、このまま計測を進めたいと思います。

先ほどのコイルにコットンを通して、グリセリンを付与して
計測致します。

0903コイル


余談ですが、今回から、このNi200計測用の治具を
作りなおしました。

我ながらなかなかのセンスかと
思いますが、510コネクタ部分の接点がイマイチなので、
また今度作りなおす予定。w

では、早速波形を見ていただきましょう。

【HB40のTC時出力波形】
目標温度:400F
出力上限:30W
0100 [グリアリ]400F 30W 

いやぁ…この波形を見た時に、
「さすがだなぁ…」思わず唸ってしまいました。

唸った理由を説明するために、比較用に、同条件で計測した
VFClone(KX-40D)の波形を添付致します。

[VFClone計測風景]
1000VFClone
 


【VFClone(KX-40D)のTC時出力波形】
目標温度:400F
出力上限:30W
0110 [KX40D][グリアリ]400F 30W 


VFCloneの波形は、大きく上下に振れている(ハンチング)
していることがわかります。
画像中の水色の点線は、触れの中心を、なんとなく
たどったものです。
 
本来だったら、この水色の点線に合わせてぴったり制御すれば、
設定温度(400F)に綺麗に追従するのだと思います。

対して、HB40(DNA40)はどうでしょうか?
0120 [グリアリ][解説]400F 30W 



小刻みに震えながらも、なだらかに降圧しています。

これは、高速道路でクルーズ中の車の運転に例えると
VFClone(KX-40D)は、アクセルを、ベタ踏みしたり、足を離したりしながら
ギクシャクしながら100km/h近傍をキープしている様子。
上り坂でも下り坂でも、アクセルの開閉に合わせて、
車が前後にぎったんばったんしているようなイメージ。

対してDNA40は、目標速度付近になるように、
一定のアクセル開度でクルーズしつつ、
上り坂がきたら、じわっと踏むし、下り坂でも徐減速
になるように、常にふわっと優しくアクセルを操作するようなイメージです。

なぜ、このような違いがあるのか?というと、
フィードバック(FB)制御設計時のパラメータ設定に、
どのくらい時間をかけているのか、の差であると考えます。


_/_/_/_/_/_/以下妄想。_/_/_/_/_/_/

恐らく、Evolvの技術者は、Ni200のコイルを使用したTCを思いついた際に、
「うまくTCをが動けば、こんな感じになるはずだ!」という、
なだらかに降圧する出力の図を、頭に思い描いたのだと思います。

だから、実際にTCをした際に、このような出力波形になるように、時間をかけて、
パラメータを設計/設定したのだと思います。

つまり、Evolvの技術者は、"理想の出力波形"ありきで制御のセッティングを行ったのだと思います。

対して、Kangxinの技術者"コイルの温度がある程度で収束すればいい"という考えで
設計したのだと思います。

制御系のパラメータの設定というのは、とても時間がかかるものです。
コイルの上下限抵抗や、ウイックの湿り具合など、あらゆる環境にて、
同等に動くようにするためには、かなり泥臭い作業をイヤになるほど繰り返す必要があります。

Kangxinの技術者も、DNAが緻密に制御していることは知っていたと思いますが、
販売価格を考えれば、あまりFB制御系のセッティングに時間を掛けることができなかった
のだと思います。

だから、Kangxinの技術者は、開発時に、コイルに温度センサを取り付けて、
「出力波形は荒くても、ある程度温度が狙いの値のところで収束してくれりゃ~いいやぁ」
くらいの手の抜き方で作ったんだと思います。

先ほどの車の例で言ったら、
「だいたい100km/hで走れてるんだから、問題ないだろ?」とでも言いたげな感じで。

_/_/_/_/_/_/以上妄想。w_/_/_/_/_/_/



といったわけで、TCのフィードバック制御の緻密さでいったら、
Kangxinに対して、Evolvの圧勝です。

【コイルに息を吹きかけた際の応答性】
下記波形は、コットンを抜いて空焚きしているコイルに、
息を吹きかけた際の波形になります。
赤い点線で囲った部分が、私がコイルに対して息を吹きかけた瞬間の波形になります。 
0210 [空焚き][息吹きかけ]400F 30W超いい感じ


コイルに息を吹きかけてから昇圧するまでの時間は、
十分なレスポンスを有していて、全く問題がないと言えます。

ちなみに、VFCloneにて同条件でやった波形がこちら。
0310 [KX40D][空焚き][息吹きかけ]400F 30W 

VFCloneも、問題なく息の吹きかけによる、コイルの温度低下反応していますが、
息を吹きかけていない時の保温の方法が全然違いますね。

VFCloneはパルス状に、電圧を加圧して保存していますが、
HB40は、うねうねと出力調整をして、ナントカちょうどいい出力に収束させよう
という意図が感じます。
(「はぁ…。やるなぁEvolv。」 と、ここでも思わずため息が出ました。w)





4.波形解析(VW)

VWも、出力解析してみました。

なかなか面白かったのは、DNA40のパフ中のWの表示は、VW時においても、
設定目標値ではなくて、現在の出力値を表示しているということです。

1.5[ohm]の抵抗に対して、なくなりかけの電池を入れて出力したら、こうなりました。

40W設定しても、あげきれなくて、表示ワット数が33W程度で頭打ちになっていることがわかります。

 
ちなみに、バッテリーを満タンにしたら、正常に40Wの表示になりました。
 
温度制御対応したことによる、副産物的な仕様変更ではないかと思います。


それでは、VWのの波形になります。

【VW波形①40W】
コイル抵抗値:1.5ohm
設定出力:40W
20V] 40W


このとき、液晶上の表示は、8.2[V]ほどでしたが、
実測すると約7.5[V]程度の出力で、若干乖離が有りました…。

抵抗値も、USAOhmメーターで図ると、ハーネス込みで1.59[ohm]ほどでしたが、
液晶表示では、1.69[ohm]になっています。


液晶表示で計算すると、

電力[W] = (電圧[V])^2 / 抵抗[ohm]

で、

電力[W] ≒ 39.79[W]

で、ほぼ40[W]と言えますね。
DNA40的には、ちゃんと40Wを出力していることになっているようです。

ただし、実測値では、抵抗1.59[ohm]で、電圧7.5[V]なので、

電力[W] ≒35.38[W]

で、実際は若干出力不足ということになります。


ちょっと気になったので、各出力設定において、どのくらい割増に表示されるのか
計測して、グラフにしてみました。

0450 VWグラフ

傾向として、低い出力設定の時ほど、最大20%弱程度割増に液晶表示され、
20W以降においては、約8%程割増に表示されることが分かりました。

これは、恐らく、基板のせいではなくて、基板から510コネクタまでの道通不良などに
起因するものなのかな、と思っています。

Twitterで相互フォローして頂いている、ひめぁゃさん考案の、
510口金アース直取り改造をすれば、
改善されるかもしれません。 

ちなみに、最低出力の1W側も計測してみました。
波形はこちら。


【VW波形②1W】
コイル抵抗値:0.5ohm
設定出力:1W
77V] 1W


DNA40は、スペックシート上で、最低電圧1[V]
と謳っているにもかかわらず、表示出力0.77[V]、実測0.59[V]と、
なにげに1[V]以下の出力できてます

(なんで、わざわざ嘘ついてるんだろう…w)




5.総括 HB40(DNA40)

前述しましたが、兎にも角にも、DNA40という基板は、
制御系のセッティングがとてつもなく緻密です。

一品物合わせならいざしらず、量産品における
FB系のセッティング
は、本当に超大変なものです。
それを、真面目にやってのけているEvolvは本当に凄いと思います。

私自身、計測する前から、
「どうせ、Kangxin製の基板と挙動はそんなに変わらないでしょ?」
と斜に構えて計測開始したので、計測波形に違いが会った時はホントびっくりしました。
 
Evolvの職人魂ここにあり!と思ったものです。
制御に対する美学めいたものまで感じた。

だから…
巷で話題になった、電池の残量が減ったり増えたりするとか、
摂氏表示で制御がイケてないとか、その他もいろいろバグの話題があって、
「Cloneのほうがバグがなくていい!」とか言う人もいたりして、(私も言った気がする。w)
 
DNA40の設計者としては、
「いや、ソコじゃないんだよ!俺らの本気の部分は出力波形なんだよ!」
と、非常に悔しい思いをしたのだろうと思います。

 
ただ…ぶっちゃけ、
そんなEvolvのこだわりも使用者に伝わる部分では確実にないと言い切れます。

なぜなら、私自身ここ3週間ほどHB40をメインで
持ち歩いて使いましたが、それまで使っていた
VFCloneとTCに対する性能面での違いを感じたことはなかったし、
波形計測するまで、本当に「どうせ波形も一緒でしょ?」
高をくくっていたくらいだからです。w
 

だから、誤解を恐れず厳しく言ってしまえば、
正直ものすごい緻密な制御だけど、ここまでくると、
ある種作ってる側の自己満足でしか無いとも言えると思います。

ただ、Evolvが出してくる製品で、機能面のバグはいろいろあっても、
SMOKみたいな性能面でダメなものは、絶対無いのだろうと思いました。
 
だから、次期種のDNA200も私は相当期待できると思っています!


余談になりますが、今回の件で、Kangxinの制御基板が、
見た目や挙動は多分にDNAを意識しているものの、
ソフトウェアは完全にオリジナルだということが、
証明できたと思います。
 
たしかに、Kangxin社の制御は緻密さはEvolv製に劣るものの、
性能面では当Blogにて行ったコットンバーンテストでも証明している通り、
必要十分であり、オリジナルのソフトウェアで
このくらいの設計が出来る実力があるのなら、
今後Vape業界にビッグインパクトをもたらす製品を生み出す
可能性もあるのではないか、と感じています。


…といったところで、今回のHB40(DNA40)解析記事は終わりになります。




なんにせよ、このように、

「どうせ、○○○みたいに動かしてんだろ?」

とタカをくくって評価したら、あれま、全然違う挙動!みたいなことがあるから、
MODの出力計測は楽しくてしかたがないのであります。



ちなみに、次回は…



1100IPV4

個人的には満を持しての評価になります、
YiHi製制御基板を搭載したTC機能つきMOD、
Pioneer4you iPV4のレビューを行う予定です!

乞うご期待!


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こんにちは!rujiAです!

今回は、 SMOK社 Xpro M80 pluseのレビューを行います。 

DSC_0929


こちらは、E-cigareteショップの、Angelcigs様よりご提供頂きました。
ありがとうございます。


00 logo

Thank you for the products offer!


1.SMOK Xpro M80 Pluse概要

さて、まずはSMOK Xpro M80 Pluse(以下M80)
概要から説明させていただきます。

M80は、電子タバコ業界において、China系のメーカーとしては老舗の
SMOK社の製品になります。

特徴といたしまして、
・4400mAhの大容量バッテリー(公式によると、18650が二個入っているらしい)、
・最大80Wの高出力
・先代のBT50では一部不評だった降圧回路のバージョンアップ
・そして、満を持してのオリジナルストラテジによる
 温度管理(以下TC:Temperature Control)搭載

といったところが挙げられます。

発表当初は、名実ともにSmokのフラッグシップモデルとして、
デビュー…する予定でした。

しかし、当BlogのVF cloneの記事で書いたとおり、
海外レビュワーによるコットンバーンテストにて、
コットンが発火する現象が多発



「温度FB超イケてねー!」という評判が海外で広まりまして、
国内外にて華々しいデビューを飾る予定が、
日本では発売前に悪評が広まってしまい、
取扱っているShopが少ないことも相まって、
現在では、あまり一般的ではないMODとなっているのが現状です。

しかし、海外ではオリジナルチップ搭載で有る点や、
安価な価格設定である点が評価されてか、そこそこ人気があるらしく、
海外サイトVapingCheapでは、2015ベストTC-MODランキングで
5位を獲得しているという側面もあります。











2.外観等

M80と、BT50を並べてみました。

DSC_0930


 正面から見ると、M80の方が、横に長く、高さが低いですね。

DSC_0931

上から見ると、少し薄いのが分かります。
実物を見たことがないのですが、恐らく、M22系と同程度の厚みなのかな?と
思っております。

写真で見ると、横に長さがある分、大きく見えますが、
前述したとおり、高さや幅がBT50より少ないので、握ってみると、
あまり大きさは感じつ、私としてはちょうどいい範囲かな、と思います。

DSC_0932


ちなみに、ご覧のとおりで、天井は、M22,M50系と同様に、
天井板を、ネジで締めるタイプです。

 
DSC_0936
 
裏側には、ベントホールと充電&Firm Update用のマイクロUSB端子があります。
表記を見ると、なにげに2Aまでいけるようなので、IPAD用の2AUSBチャージャー等で、
急速充電ができるかもしれません。(当方未検証)
4400[mAh]の大容量バッテリーですので、なかなか嬉しいですね。

ちなみに、電池交換はできません。











3.コットンバーンテスト
DSC_0940

前述したとおり、Youtubeに、海外レビュアーによるコットンバーンテストで、
「燃えたよ!」って動画はよく見かけるのですが、
DNA40なんかでやっているような、何degFの時どうだったか、みたいな結果は
見かけたことがなかったので、やってみました。

Ni200のコイルは0.141[ohm]のものを使用。
DSC_0927



M80で読み込むと… 
DSC_0928
 
0.18[ohm]でした。すこしオフセットしていますね。


少なくとも、DNA40やKangxinのKXシリーズよりは、
誤差が大きいということになります。



以下コットンバーンテストは、出力設定30W、通電時間約20秒で行いました。


【1.目標温度200F】
まずは、最低出力設定です。 

が、この時点で少し焦げ臭い・・・。

コットンを外してみると、





01-00 200F 焦げた

案の定少し焦げているというw

すでに出オチ感が漂っております…
 
【2.目標温度:250F】

 01-01 250F リアルスモーク

ここで、なんとリアルスモークが発生

しかも、コイルからコットン引き抜いたら、
熱せられた部分が炭になっていてちぎれてしまいました

 
【3.目標温度:300F】

安定のリアルスモークです。
01-02 300F コットン焼き切れる

そして、コイルに接している部分のコットンが、燃えてなくなりました。






【4.目標温度:350F】

同上。

安定しています(煙量が)。



【5.目標温度:400F】

ここにきて、通電中の様子に変化が。

01-03 400F コイル赤熱

 
コイルが赤熱化するようになりました。

煌々と輝いております。

 
【6.目標温度:450F】
 
同上


【7.目標温度:500F】
 
同上




と、いったところで、
M80は900[degF]まで目標温度を設定することが出来ますが、
コレ以上は何の意味もないと判断し、やめました。 


以上のコットンバーンのテストリザルトが、こちらです。



【M80 コットンバーンテスト 結果】 
01 CBT_result

 
ご覧のとおりで、最小設定値である、200Fの設定ですら、うっすら焦げてます。

ちなみに、以前記事にした、Kangxin製のVF Cloneの結果はこちらこちら

 


Twitterで めがねハードコアさんも言っていましたが…
SMOKは、温度を管理する気があるんでしょうか?

200Fと250Fと、300F以降で、いずれも焦げているながらも、
焦げ具合が若干異なることから、
一応、設定温度に応じて出力を調整しようとする意思はありそうですね。

ただ、けっきょく最小設定でも焦げちゃってるから、この時点では、
温度を、管理/制御/フィードバックする意思は…無さそうかなと思います。


ちなみに、私のM80のファームバージョンは、最新のV0007-1
つまり、最新版でも、コットンバーンテストでは、300F以上でコットンが燃えつきてしまうという
結論になりました…。


ちなみに、

「もしかしたら、ドライコットンでは比熱容量が低すぎて、
MODが温度管理の操作をする前に炭になっちゃうから成立しないのでは?
つまり、実はリキチャされていれば温度FB成立する…?」


という仮説をたてて、目標温度200Fにて、
コットンにグリセリンを染み込ませてテストをしてみましたが…
01-04 200F グリありでも焦げる


うん、関係ありませんね。
焦げます。




では、事項にてTC時における、波形の解説をしたいとおもいます。
 










4.[MOD Analysys]TC時の出力波形

まずは、こちらを見ていただきましょう。
前述したコットンバーンテストにおける、目標温度300F時の波形です。

【目標温度300F 出力30W コットンバーン】
01-02 300F 30W 20s 空焚き・比較用


当Blogを読んでくださっている方には、気づいた方も
いらっしゃると思いますが、TC時、M80はPWM制御をしています。
 
KangxinのTCの波形と比べると一目瞭然で、
まったく出力調整の方法が違うことがわかります。


では、今度は、TCを行っている状態で、
息を吹きかけてみましょう。

ちなみに、VF Cloneのときは、息がかかって温度が低下したことを
MODが検知し、自動的に出力調整してました。

参考に、その時の波形はこちら


【目標温度300F 出力30W 息吹きかけ】
01-01 300F 30W 20s 息吹付け くぼんでるところが息かけたとこ

そんなに変わっていないように見えますが、
赤い点線で囲った、すこし波形のピークが落ちているところが、
丁度息を吹きかけているところです。

息の吹きかけに応じて、出力が下がっているように見えます。
 
と、こう書くと、 
「あ、なんだ!コイルの温度に応じてフィードバックしてるじゃん!」
思われるかもしれませんが、残念ながら、それはおそらく違います
 
息を吹きかけた時は、コイル温度は下がる傾向なので、
ここは、出力を上げる方向が、正解です。



おそらく、ここで、出力のピークに変化があったのは、
コイル温度の変化で、コイルの抵抗値自体が低くなったことによって、
MODの出力電圧の降下が発生したのだとおもいます。

つまり、コイルの温度変化に応じて、
成り行きで出力が変わった
にすぎません。 



すなわち、M80は、Temperature Control、
温度管理をうたっていますが…

実際には、フィードバック制御はしておらず、
温度を管理をしていない
といえます。(キッパリ)




「でも、一応温度の設定に応じて、コットンの焦げ具合が変わってるじゃん!
だから、何もしてないなんてことはないでしょ!」と思うかもしれません。

そう、一応、制御はしています。
ただし、実際に行っている制御は、制御の世界では、オープン制御と呼ばれる制御方法だと思います。

オープン制御は、別名、予測制御といったりもします。
予測というと、なかなか聞こえはいいですが、
要は、「現状は関係なく、やりっ放し」ということです。


実際には、おそらく、Ni200コイルの冷間時の抵抗値から、

「こんなもんなら、XXX[W]で熱しておけば、
コイルの抵抗変化量をかみして、
そのうち目標温度のOOO[degF]にだいたい収束するだろうな。」

と判断して、それっぽい出力を出し続けているだけだと思います。


もしそうならば、ぶっちゃけ…
Ni200で普通にVWしているのと何も変わりません







と、ここまで聞いて、M80はダメダメだな!と思ったそこのあなた!
ちょっと待って下さい!



といっても、このMOD,
悪いところばっかりでもないんです!
というわけで、次にVWの時の出力波形について解説させていただきます。
 








5.[MOD Analysys]VW時の出力波形 

まずは、こちらを御覧ください。
MAX出力、80Wの波形です。

【抵抗:0.5[ohm] 80W】
8V



ちょっと乱れてるところはあるものの、そう、
M80は高出力だと、DC-DCコンバータで昇圧をします。

ちなみに、抵抗値0.5[ohm]に対して、電圧が6.4[V]ほど出ているので、
オームの法則より、計算し、

電力[W] = (電圧[V])^2 / (抵抗[ohm])

に当てはめて計算すると、
電力[W] = 81.92[W]

というわけで、問題なく公称の80[W]近傍が出ています。



では、下限の出力はどうでしょうか

【抵抗:0.5[ohm] 6W】
87V 実際PWMでわからんV


そう、低出力時は、PWM制御になるんですね…

【[拡大]抵抗:0.5[ohm] 6W】
8V


PWM制御時のピーク電圧は、約3.6[V]。
ちなみに、液晶表示1.86Vに対して、RMS値が
1.81Vととても近いので、SMOKのPWMの考え方は、
RMS基準なようですね。(私の見解とは違うw)


つまり、3.6V以上の電圧を要求するような使い方をした場合、
M80は高出力なVW機と同等の品質の出力をします。

3.6V以上なら、例えばSUBTANKのように0.5[orm]だったら
26[W]以上の設定で使うなら、高出力で、電池持ちもいいMOD
としての活路が生きてきます。

ちなみに、私の知っている限りでは、
このように、高電圧時はDC-DCコンバータで昇圧し、
定電圧時にはPWM制御で降圧するような回路構成は、
Eleaf社のiStick20なども同様の構成となっています。
 
余談ですが、そういった意味で
Eleaf初のTC-MODである、iStick40の実力にも注目しています。


6.考察 ~"な~んでそんな構成なの?"という問いに対するrujiAの妄想~
 
すなわち、恐らくSMOKは、ハードウェア(=基板実装)の構成的に、
BT50系と同様に、DC-DCコンバータによるフラット変圧時には、
最低降圧値が3.6[V]までしか対応できないDC-DCコンバータ回路の
構成になっている(※)…しかし、BT50のときに、低出力を望むユーザーから、
不満があったことを考慮して、安価である、制御ロジックによる降圧、
すなわちPWM制御に対応した、ということなんだと思います。

※:BT50は、約3[V]以下に電圧を降圧することが出来ない構造になっていました。


まぁ、SMOKのハード設計の不都合を、
プログラマの頑張りで救ってあげたってことだとおもいます。
しかし、この、3.6[V]以下はPWM制御にて降圧する構成が、
TCが不成立になってしまう要因
となってしまいました。

恐らく、PWM制御にて、温度FBで使うような弱電圧を実現
しようとすると、コイルの抵抗値を、うまく計測できないんでしょう。

すなわち、現在のコイル温度を計測することができず、
コイル温度に応じた出力調整をすることができない。
だから、フィードバック制御をすることができない


rujiAの予想妄想では、
M80は当初、TCを持たせる計画はなかったんだと思います。
 
私のM80誕生の妄想シナリオは、下記です。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 
①M80は、BT50やM80シリーズの後継機として、
ただの高出力で電池容量が大きいBOXMODとして開発していた。
 
ハードは既にM80系の上位互換的な発想で作った基板でいくと決めていた。

③開発もいよいよ終盤!というところで、
ゴリ押しのマーケティング担当者(っていうか社長)から、

時代はNi200を使ったTCってやつらしいぞ!M80にその機能のせろ!
DNA40の丸パクリの動作でいいから!どうせソフトなんかタダなんだろ?」という
むちゃくちゃな急ハンドルみたいな指示がでる。w

④技術者的には、「いやいやいやいや!無理っすよ!だってDNAはフルDC-DC変圧だけど、
我々のは低出力時PWMだから!いまさら成立性とか保証できないよ!」と言ったハズ。w

⑤社長「まぁ、、技術のことはよく知らないけどさ。お前がそういうなら…
…じゃあいいよ。残念だね。君の今年の春節無いね~~。残念だね~~。
やるっていうなら、今日のお昼のきゅうり丼も超大盛りだったのにねー


⑥技術者「…(きゅうり丼はどうでもいいけど、正月がなくなるのは嫌だ!)やります…」
(…とはいったものの、ガチTCはできないから、
ニッケルヒーターの原理で、なんとなく温度が収束するような制御手法でお茶を濁そう…。)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/


みたいなことではないかと。w

 
つまり、最近のSMOKの雰囲気にありがちですが、
MODの基本構造の身の丈にあった機能要求ではない、
背伸びした設計になってしまったんですね。


その後SMOKの技術者がどうなったのか、気になります…。
失敗を責めない、人道的な会社であることを祈っております…


7.まとめ

てなわけで、総評です。

率直にM80は、買いか?という質問に対して、
 
私的には、有り。但しTCには期待してはいけない。
という風に思っています。

有りの理由は、高出力のVW機としては、
十分すぎる性能を有しているからです。

事実、現在も、VF Cloneに加えて、サブ機として、
BI-SOのReVO専用ドリッパーとして、M80を持ち歩いています。

DSC_0923


ビルドは、28Gの内径3.5mm、10回巻Dualコイルで1.41[orm]です。
 
余談ですが、甘くてガンクの出やすいリキッドは、サブΩで吸うよりも、
高ohmで30W程度の出力で吸ったほうが、甘さもでるし、
ガンクのつきも少ない気がします。
 
上記設定だと、6.5[V]の電圧が必要ですが、M80なら余裕のよっちゃんです。
しかも、電池持ちもいい。

前述の私の勝手な予想妄想では、
M80の基本設計は、高出力VW機の設計だったとおもうので、
要はそういう運用をしてあげれば、優秀なMODとして、
十分に活躍
してくれます。

しかも、今買うと滅茶苦茶安いんですね。

50ドルきってます。


50ドル切って、しかも内蔵電池で急速充電可能なら、
全然有りな選択だと思います。

ただし…
繰り返しになりますが、TCには微塵も期待してはいけません。
 
M80のハード設計では、たとえ何度ファームのアップデートがあっても、
TCを完璧に成立させることは、限りなく不可能であると考えるからです。

というわけで、いろいろと、物議をかもしだした本製品ですが、

わるい製品じゃないんです!(TC以外は)
根は良いやつなんです!


そんな本製品ですが、不人気ゆえに、あえて選択!
という選択もあるとおもいます。


SMOK Xpro M80 Pluse
$49.99
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