こんにちは!rujiAです。
 
本日は、Hcigar社HB40のレビューと解析を行います!

01 外観



このHB40は、Twitterで仲良くして頂いている、
うふふのけいちゃんに提供して頂きました。

このHB40は、DNA40という制御基板が搭載されています。
DNA40といえば、基本的に1万円超えの高級MODに搭載される
高級制御基板

そんなDNA40を搭載したHB40を惜しげも無く貸与していただいたけいちゃんには、
感謝してもしきれない程感謝しております!

けいちゃんには、その感謝を表して大量の宇都宮餃子を送らせて頂きました。

02まさし


けいちゃん、ありがとうございます!


1.HB40概要
 
 HB40は冒頭で述べたとおり、中国のHcigar社の製品です。
 
その最大特徴は、温度制御(以下TC:Temperature Control)基板の
先駆者にして決定版である、Evolv社のDNA40を搭載していることでしょう。

03 Evolvロゴ


そして、このDNA40を搭載していながら、
価格を抑えていることも大きな特徴の一つです。

本Blogで以前記事にした、miniVFVFCloneのTC基板である、
Kangxin社のKXシリーズは、こちらのDNA40を参考にして
作られた制御基板になります。
 
安価なTC制御MODには、オリジナルのDNA40ではなく、
KXシリーズのような、DNAの機能を模した中国製基板が使われていることが
ほとんどです。

しかし、このHB40は、オリジナルの基板を使っていながらにして、
他のDNA40搭載MODのに比べ、発売当時は飛び抜けて安かったことから、
日本のVaporの間でも人気となりました。

2.外観等

BT50と並べてみました。

04 正面比較



使っているとそんなに気になりませんが、HBの方が少し背が高いんですね。


上から比較。

05あつみ



厚みはほぼ同じくらいです。





電池蓋は、強力なマグネットによって固定されています。

06裏蓋

初めてマグネット蓋のタイプのMODを使いましたが、
なかなか良いですね!
電池がなくなっても、スペアの電池に
ストレスフリーで交換できます。最近のMODのの主流になる理由がわかります。

ちなみに、本体側のマグネットが、蓋の方にくっついて、取れてしまう
という不具合が結構あるようですが、このHB40ももれなく取れてしまいました。
 
でも、アロンアルファで一度くっつけたら、それ以来とれてくることはありません。
快適そのものです。


あとは、特徴的な部分としては、MODの側面でなく、
正面に、操作スイッチ類や液晶が配置されています。

07サイドスイッチ

 実際に使うまでは、「どうかなぁ~」と思っていましたが、
使ってみると、親指のちょうどいい位置にパフボタンがくるので、
なかなか馴染みます。


 3.波形解析(TC)

では、本Blogメインコンテンツの波形解析です。

08計測風景


まずはTC時の波形解析から行います。

使用したコイルは、Ni20028G11回巻き0.12[ohm]のものを使用しました。

0900 USA


これをHB40で読み込むと…
0901 HB40coil


0.15[ohm]…。
0.03[ohm]ほどオフセットしてしまっています。
 
他の方のDNAの抵抗表示値が、もっと正確なことを考えると、
おそらくは基板ではなく、基板から510コネクタに至るまでの
電流経路に、ボトルネックになっているところがあるんだと思います。

多分、Twitterで話題になった、例のボディアースの箇所かと思いますが…
ひとまずは、このまま計測を進めたいと思います。

先ほどのコイルにコットンを通して、グリセリンを付与して
計測致します。

0903コイル


余談ですが、今回から、このNi200計測用の治具を
作りなおしました。

我ながらなかなかのセンスかと
思いますが、510コネクタ部分の接点がイマイチなので、
また今度作りなおす予定。w

では、早速波形を見ていただきましょう。

【HB40のTC時出力波形】
目標温度:400F
出力上限:30W
0100 [グリアリ]400F 30W 

いやぁ…この波形を見た時に、
「さすがだなぁ…」思わず唸ってしまいました。

唸った理由を説明するために、比較用に、同条件で計測した
VFClone(KX-40D)の波形を添付致します。

[VFClone計測風景]
1000VFClone
 


【VFClone(KX-40D)のTC時出力波形】
目標温度:400F
出力上限:30W
0110 [KX40D][グリアリ]400F 30W 


VFCloneの波形は、大きく上下に振れている(ハンチング)
していることがわかります。
画像中の水色の点線は、触れの中心を、なんとなく
たどったものです。
 
本来だったら、この水色の点線に合わせてぴったり制御すれば、
設定温度(400F)に綺麗に追従するのだと思います。

対して、HB40(DNA40)はどうでしょうか?
0120 [グリアリ][解説]400F 30W 



小刻みに震えながらも、なだらかに降圧しています。

これは、高速道路でクルーズ中の車の運転に例えると
VFClone(KX-40D)は、アクセルを、ベタ踏みしたり、足を離したりしながら
ギクシャクしながら100km/h近傍をキープしている様子。
上り坂でも下り坂でも、アクセルの開閉に合わせて、
車が前後にぎったんばったんしているようなイメージ。

対してDNA40は、目標速度付近になるように、
一定のアクセル開度でクルーズしつつ、
上り坂がきたら、じわっと踏むし、下り坂でも徐減速
になるように、常にふわっと優しくアクセルを操作するようなイメージです。

なぜ、このような違いがあるのか?というと、
フィードバック(FB)制御設計時のパラメータ設定に、
どのくらい時間をかけているのか、の差であると考えます。


_/_/_/_/_/_/以下妄想。_/_/_/_/_/_/

恐らく、Evolvの技術者は、Ni200のコイルを使用したTCを思いついた際に、
「うまくTCをが動けば、こんな感じになるはずだ!」という、
なだらかに降圧する出力の図を、頭に思い描いたのだと思います。

だから、実際にTCをした際に、このような出力波形になるように、時間をかけて、
パラメータを設計/設定したのだと思います。

つまり、Evolvの技術者は、"理想の出力波形"ありきで制御のセッティングを行ったのだと思います。

対して、Kangxinの技術者"コイルの温度がある程度で収束すればいい"という考えで
設計したのだと思います。

制御系のパラメータの設定というのは、とても時間がかかるものです。
コイルの上下限抵抗や、ウイックの湿り具合など、あらゆる環境にて、
同等に動くようにするためには、かなり泥臭い作業をイヤになるほど繰り返す必要があります。

Kangxinの技術者も、DNAが緻密に制御していることは知っていたと思いますが、
販売価格を考えれば、あまりFB制御系のセッティングに時間を掛けることができなかった
のだと思います。

だから、Kangxinの技術者は、開発時に、コイルに温度センサを取り付けて、
「出力波形は荒くても、ある程度温度が狙いの値のところで収束してくれりゃ~いいやぁ」
くらいの手の抜き方で作ったんだと思います。

先ほどの車の例で言ったら、
「だいたい100km/hで走れてるんだから、問題ないだろ?」とでも言いたげな感じで。

_/_/_/_/_/_/以上妄想。w_/_/_/_/_/_/



といったわけで、TCのフィードバック制御の緻密さでいったら、
Kangxinに対して、Evolvの圧勝です。

【コイルに息を吹きかけた際の応答性】
下記波形は、コットンを抜いて空焚きしているコイルに、
息を吹きかけた際の波形になります。
赤い点線で囲った部分が、私がコイルに対して息を吹きかけた瞬間の波形になります。 
0210 [空焚き][息吹きかけ]400F 30W超いい感じ


コイルに息を吹きかけてから昇圧するまでの時間は、
十分なレスポンスを有していて、全く問題がないと言えます。

ちなみに、VFCloneにて同条件でやった波形がこちら。
0310 [KX40D][空焚き][息吹きかけ]400F 30W 

VFCloneも、問題なく息の吹きかけによる、コイルの温度低下反応していますが、
息を吹きかけていない時の保温の方法が全然違いますね。

VFCloneはパルス状に、電圧を加圧して保存していますが、
HB40は、うねうねと出力調整をして、ナントカちょうどいい出力に収束させよう
という意図が感じます。
(「はぁ…。やるなぁEvolv。」 と、ここでも思わずため息が出ました。w)





4.波形解析(VW)

VWも、出力解析してみました。

なかなか面白かったのは、DNA40のパフ中のWの表示は、VW時においても、
設定目標値ではなくて、現在の出力値を表示しているということです。

1.5[ohm]の抵抗に対して、なくなりかけの電池を入れて出力したら、こうなりました。

40W設定しても、あげきれなくて、表示ワット数が33W程度で頭打ちになっていることがわかります。

 
ちなみに、バッテリーを満タンにしたら、正常に40Wの表示になりました。
 
温度制御対応したことによる、副産物的な仕様変更ではないかと思います。


それでは、VWのの波形になります。

【VW波形①40W】
コイル抵抗値:1.5ohm
設定出力:40W
20V] 40W


このとき、液晶上の表示は、8.2[V]ほどでしたが、
実測すると約7.5[V]程度の出力で、若干乖離が有りました…。

抵抗値も、USAOhmメーターで図ると、ハーネス込みで1.59[ohm]ほどでしたが、
液晶表示では、1.69[ohm]になっています。


液晶表示で計算すると、

電力[W] = (電圧[V])^2 / 抵抗[ohm]

で、

電力[W] ≒ 39.79[W]

で、ほぼ40[W]と言えますね。
DNA40的には、ちゃんと40Wを出力していることになっているようです。

ただし、実測値では、抵抗1.59[ohm]で、電圧7.5[V]なので、

電力[W] ≒35.38[W]

で、実際は若干出力不足ということになります。


ちょっと気になったので、各出力設定において、どのくらい割増に表示されるのか
計測して、グラフにしてみました。

0450 VWグラフ

傾向として、低い出力設定の時ほど、最大20%弱程度割増に液晶表示され、
20W以降においては、約8%程割増に表示されることが分かりました。

これは、恐らく、基板のせいではなくて、基板から510コネクタまでの道通不良などに
起因するものなのかな、と思っています。

Twitterで相互フォローして頂いている、ひめぁゃさん考案の、
510口金アース直取り改造をすれば、
改善されるかもしれません。 

ちなみに、最低出力の1W側も計測してみました。
波形はこちら。


【VW波形②1W】
コイル抵抗値:0.5ohm
設定出力:1W
77V] 1W


DNA40は、スペックシート上で、最低電圧1[V]
と謳っているにもかかわらず、表示出力0.77[V]、実測0.59[V]と、
なにげに1[V]以下の出力できてます

(なんで、わざわざ嘘ついてるんだろう…w)




5.総括 HB40(DNA40)

前述しましたが、兎にも角にも、DNA40という基板は、
制御系のセッティングがとてつもなく緻密です。

一品物合わせならいざしらず、量産品における
FB系のセッティング
は、本当に超大変なものです。
それを、真面目にやってのけているEvolvは本当に凄いと思います。

私自身、計測する前から、
「どうせ、Kangxin製の基板と挙動はそんなに変わらないでしょ?」
と斜に構えて計測開始したので、計測波形に違いが会った時はホントびっくりしました。
 
Evolvの職人魂ここにあり!と思ったものです。
制御に対する美学めいたものまで感じた。

だから…
巷で話題になった、電池の残量が減ったり増えたりするとか、
摂氏表示で制御がイケてないとか、その他もいろいろバグの話題があって、
「Cloneのほうがバグがなくていい!」とか言う人もいたりして、(私も言った気がする。w)
 
DNA40の設計者としては、
「いや、ソコじゃないんだよ!俺らの本気の部分は出力波形なんだよ!」
と、非常に悔しい思いをしたのだろうと思います。

 
ただ…ぶっちゃけ、
そんなEvolvのこだわりも使用者に伝わる部分では確実にないと言い切れます。

なぜなら、私自身ここ3週間ほどHB40をメインで
持ち歩いて使いましたが、それまで使っていた
VFCloneとTCに対する性能面での違いを感じたことはなかったし、
波形計測するまで、本当に「どうせ波形も一緒でしょ?」
高をくくっていたくらいだからです。w
 

だから、誤解を恐れず厳しく言ってしまえば、
正直ものすごい緻密な制御だけど、ここまでくると、
ある種作ってる側の自己満足でしか無いとも言えると思います。

ただ、Evolvが出してくる製品で、機能面のバグはいろいろあっても、
SMOKみたいな性能面でダメなものは、絶対無いのだろうと思いました。
 
だから、次期種のDNA200も私は相当期待できると思っています!


余談になりますが、今回の件で、Kangxinの制御基板が、
見た目や挙動は多分にDNAを意識しているものの、
ソフトウェアは完全にオリジナルだということが、
証明できたと思います。
 
たしかに、Kangxin社の制御は緻密さはEvolv製に劣るものの、
性能面では当Blogにて行ったコットンバーンテストでも証明している通り、
必要十分であり、オリジナルのソフトウェアで
このくらいの設計が出来る実力があるのなら、
今後Vape業界にビッグインパクトをもたらす製品を生み出す
可能性もあるのではないか、と感じています。


…といったところで、今回のHB40(DNA40)解析記事は終わりになります。




なんにせよ、このように、

「どうせ、○○○みたいに動かしてんだろ?」

とタカをくくって評価したら、あれま、全然違う挙動!みたいなことがあるから、
MODの出力計測は楽しくてしかたがないのであります。



ちなみに、次回は…



1100IPV4

個人的には満を持しての評価になります、
YiHi製制御基板を搭載したTC機能つきMOD、
Pioneer4you iPV4のレビューを行う予定です!

乞うご期待!


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