VAPE MOD研究所

電子タバコのMODの計測と評価…というニッチなジャンルの日記

カテゴリ: 技術解説

こんにちは!
rujiAです。

前回の記事では、

"本Blogの6記事目にして、やっとこさのメインテーマ(への導入)記事になります。

なんつって、始めておきながら、
結局は、大陸の技術者も育っておるわい…

などという、
まるで山深い奥地で暮らす仙人が、成長した弟子に送るような超上から目線の感想
で閉めておきながら、肝心の解析に関する話が全くないというお見苦しい
展開で終了してしまい、申し訳ありませんでした。


まぁでも、このBlogは、よくも悪くも、そんな感じで、
Vapeに関連して、私の思ったことを、書いていって、
それを見て、読んでくださった方が何かしら思ってくれたらいいな、なんて思っています。
(つまるところ、私自身の自己満足です!)

時には、おかしなことも書いてしまうこともあると思いますが、
たいてい晩酌しながら書いてるので、所詮酔っ払いの戯言だなぁなんて広い心と、
生暖かい視線で見守っていただければと思います。

ちなみに、なにかご感想が有りましたら、コメント欄までなんなりとどうぞ!
どんな感想でも励みになります。




さて、また前説が長くなってしまいますので、早速本題に移ろうと思います。



【Kamry? X6計測結果】

00 x6計測


 まずは、計測結果からわかったことについて箇条書きにしてから、
それぞれの項目について書いていこうと思います。

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【解析結果】Kamry? X6はこんなMODでした

1.電圧調整方法は、PWM制御によるもの。 
2.PWMの周期は40[ms](0.04[秒]/周波数25[Hz])。 
2.PWMの周期は25[ms](0.025[秒]/周波数40[Hz])。
3.出力電圧の考え方は、平均電圧値。(Vavg。非Vrms) 
3.出力電圧の考え方は、実行電圧値。(Vrms。非Vavg。)
4.最大パフ時間は10[sec]。
5.抵抗計測はしていない。(少なくとも制御には使っていない)
6.アトマイザ断線検知/バッテリーショート等のフェールセーフ機能はない。
7.バッテリー保護のための低電圧検知制御有り。

※取り消し線部分については、当記事最下部の"お詫び"を御覧ください。 
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ちなみに、波形測定機器は、当Blogでは毎度おなじみのHANTEK 1008になります。

では、順番に説明していきたいと思います。


【1.電圧調整方法は、PWM制御によるもの。】
これについては、以前書いたオシロスコープの見方の記事にて解説したとおりになります。

ちなみに、PWM制御をおこなっている波形というのは、こんな↓波形になります。

[出力波形1:3.2[V](赤)設定]
0Ω 10ms
■アトマイザ接続…無し
■Time/div…10[ms]
■出力設定…3.2[V](赤)


次項にて後述いたしますが、X6は、ピーク電圧4.2[V](↑の例では4[V]弱ですが)の
1周期(25[ms])において、0[V]の時間の割合を
コントロールすることで、任意の低電圧を実現しています。

おそらく、PWM制御について知らないほとんどの人が、
「なんのこっちゃ?」と思っていると思うので、
熱湯風呂を例にして、PWM制御ってなに?ってのを
説明してみたいと思います。


00-01 熱湯風呂
「押すなよ!絶対押すなよ!」


さて、ここで、架空の人物、りゅう君という青年がいます。

りゅう君の趣味は、VAPEと、お風呂です。
いつもは、かなり熱めのお風呂に入ることを持ちネタにしているが多い
りゅう君ですが、この日はりゅう君の住んでいる街では、
記録的な猛暑日でした。

りゅう君も、その日は外ロケだったため、
仕事中に容赦なく照りつける太陽のせいで、もうヘロヘロ。

そのため、
「今日は、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって、のんびりしよう。
そうだな。大体32度くらいの超ぬるいお風呂がいいな!」、な~んて呟きながら、
仕事を終えて、帰路を帰っていました。


ところがどっこい!
そんなことも知らず、りゅう君のお母さんは、
この日も仕事に疲れて帰ってくるりゅう君のために、
そこそこ熱いお風呂を準備していました。その温度設定、42度

ぶっちゃけ、いつものりゅう君の好みからしたら、
かなりぬる目で、リアクション芸をするには適温な温度でしたが、
その日は前述の理由で、もう体が32度のお風呂に浸かるきマンマンになっていたので、
りゅう君は、そりゃーもう超~~がっかりしました。

02-00 ryu gakkari

しかしながら、ど~~しても今日はぬるめのお風呂に入りたいりゅう君。

頭を捻って考えました。



02-01 閃き



悩みに悩んだかいがあって、りゅう君に
いいアイディアが降りてきました!


りゅう君「氷水を用意すれば、ぬるいお湯を再現できるぞ!要は、こういうことだ!↓」

02-02 idea



 つまり、1秒間において、
76[%]を42度のお湯で浸かって、残り24[%]の時間を0度の氷水に浸かれば、
お湯の温度は42度でも、俺(りゅう君)の体は32度として感じるはずだ!
という理論です。



なぜ、お湯を氷水で割るという発想が沸かないのかは、さておいて、
PWM制御とは、上記りゅう君の考え方を地で行く理論です。




上記の例の、お湯の温度42度を、ピーク電圧4.2[V]に、
氷水の温度0度を、出力カットの0[V]に例えて考えれば、イメージしやすいかと思います。


つまり、X6のPWMの考え方を、りゅう君の例に当てはめて考えると、
前述した、"1周期(40[ms])において、0[V]の時間の割合を
コントロールすることで、任意の低電圧を実現"というのは、
つまり氷水につかる時間を調整することで、42度以下の
任意の温度を実現しようとしているのとおなじこと
をやっているのです。


ずーっとお湯に浸かっていれば、42度だし、
上記例のように、お湯:氷水の時間を76:24にすれば、32度にできるし、
お湯:氷水の時間を90.5:10.5にすれば、38度にすることもできます。

このりゅう君の例と、[出力波形1]のグラフを合体させると、
要はこういうことです。
02-03 Hakei

…若干置いてきぼりにしてしまいそうな図ですが、
グラフが上がったり下がったりしている様子が、りゅう君がおふろと氷水を
行ったり来たりしている様子に脳内補完していただければ、理解は完璧です。



それをやっているりゅう君の姿を想像すると、どう考えてもネタですが、
0.000001秒以下で物事を判断できる電子制御の
マイコン(CPU)の世界では、十分通用します。


さて、ではこのPWM制御のMODにおけるメリットとは、なんでしょうか?

それは、ひとえにコストが安いことだとおもいます。


この、PWM制御という手法は、所謂組み込み系マイコンと呼ばれる
一般的な電子制御機器用のCPUに標準で備わっている事が多い機能になります。
 
そのため、プログラムを作っている人の立場から言っても、
機能の使い方さえ知っていれば、わざわざ作らなくても最初から実装されているし、
ましてや電気回路の部分で、変圧を実現するための回路も必要ないのです。

要は、作る側からしたら、簡単だし、楽

楽=設計に時間がかからない=低コスト=安い! 

だし、

余計な部品いらない=安い!

で、まぁ要は、安い!なのです。


といったところで、PWM制御について、簡単に説明いたしましたが、
皆さんなんとなくわかっていただけたでしょうか?

きっとりゅう君の気持ちごと、心で理解していただけたことかと思っております。

そんなわけで、今回の[Mod Analysis]Kamry?社 X6 Vol.2は
ここまでといたしたいと思います。

素朴な疑問、ご感想、「っていうか、それ違うし!」というツッコミ、
りゅう君のVape遍歴等、何か有りましたら、お気軽にコメント欄までどうぞ! 



次回は、"2.PWMの周期は25[ms](0.025[秒]/周波数40[Hz])。"から順に、
また解析の解説をやっていきたいと思います。



※お詫び※
X6の解析結果について、誤記がありました。
従来は、
"2.PWMの周期は40[ms](0.040[秒]/周波数25[Hz])"、としていましたが、
"3.出力電圧の考え方は、平均電圧値。(Vavg。非Vrms)"
正しくは、
"2.PWMの周期は25[ms](0.025[秒]/周波数40[Hz])"
"3.出力電圧の考え方は、実行電圧値。(Vrms。非Vavg。)"

です。
従いまして、15/02/22にて記事中の表記をすべて修正いたしました。
間違った情報を掲載してしまい、心からお詫び申し上げます。 

こんにちは!
rujiAです。


さて、前々回の日記では、
  "次回からは、上記測定機器を使用して、バッテリーMODの評価をしていきたいと思います。"


と書き、


前回は、
"次回は、なんとかMOD評価の記事を書きたいと思います。


なんて書いたわけですが…


ごめんなさい、今回もMODの評価記事ではありません。w 


思うところがありまして、今回は、
オシロスコープの波形の見かたについて、簡単に解説したいと思います。

 
と、いうのも、当ブログ上部にある、このブログの一言説明的な部分にて、
私、"電子タバコのMODの計測と評価…というニッチなジャンルの日記"と書いておりました。


まぁ、つまり、開設する際は、こう思っていたわけです。

…電子タバコの出力をオシロスコープで測定して
記事にしようなんて、やってる人は、きっとまだいないだろう。
だから、マニアックかもしれないけど、俺がこの分野の先駆者になるぞ~!


ところがどっこい、”VAPE blog"でググってみると、最上位に現れるほどの
日本Vape界の大御所、GabishさんのBlogにて、オシロスコープを使ったMODをの評価や、
高度な考察など、あるじゃないですか…。

うわ~、先駆者になるぞ~なんて思っていた自分がこっ恥ずかしい!


まぁ、そこで、考えたわけですが、Gabishさんの二番煎じのようになってしまうかもしれないけど、
私は私なりにMODを解析して、考察してみようとおもっております。

具体的には、私の現在のお仕事は、電子機器の制御開発というものをやっています。
そこで、本業の電子制御に関係する部分、すなわちMODの、
電圧制御方法なんかに焦点を当てて、電気の話題が苦手な方にも、
わかりやすく、解説できたらいいなと思っています。

制御開発をする人、というのは、
料理に例えて言えば、料理作るコックさんが、プログラマだとすると、
私の仕事は、ックさんが参考にするレシピを作る仕事になります。

その、電子機器のレシピライターの経験を活かして、
畑違いではあるけれども、MODの設計者の頭のなかを、
想像して解析してみよう
と思っています。

つまり、私がこのブログでやってみようと思っているのは、
バッテリーMODの出力波形から、電子タバコメーカーで、
MODの設計をしている人が、何を考えてそのMODを設計したかを
考察してみよう!、ということです。

また料理に例えると、他のジャンルのプロの料理人が作った
料理を味見してみて、レシピを作った人の考えを紐解く
といったところでしょうか。



まぁ、実際には、計測結果から、そこまで多く語れない可能性もあるので、
なんだかんだいって、気ままにわたしのVapeライフにて、
思ったことをつぶやければいいかな、とも思っています。(ハードル低っw)



というわけで、わかりやすい解説を行うために、
まずはこの記事でオシロスコープの波形の見方を説明したいと思います。



例として、解析記事の第一弾として計測した、Kamry社? X6(?の理由は本編記事にて)
の出力波形を例として載せます。
赤で書いた文字や記号は、私が書いた注訳になります。

【Kamry? X6出力波形 】

00波形

■計測対象…Kamry? X6
■アトマ抵抗値…1.5[Ω]
■1time/div…200[ms] 

【解説】
こちらの波形は、以前も紹介した、HANTEK 1008USBオシロスコープにて
測定した波形になります。

[測定風景]
01


さて、オシロスコープは、時間あたりの電圧の変化を記録する装置になります。
なんのこっちゃ?というと、電子タバコを例にあげて説明すれば、
パフボタンが押されてから離されるまで、出力がどうなってたの?ってのを
観察できるツールです。
普通の電圧テスターとの違いは、(時間に応じた)電圧の変化を見ることができるという部分になります。

上の図で言うと、①パフボタン入力と書いてあるところから、②入力終了というところまで、
パフボタンを押していた(吸っていた)時の電子タバコの出力を示しています。

図の外に書いた、情報"■1time/div…200[ms] "は、
図の横方向のグリッドが、200[ms](0.2秒)間隔であることを示しています。
つまり、押してる時間は、だいたいグリッドの点線6本分の間パフボタンを押しているので、
時間にすると、およそ1.2秒(1200[ms])Vapeを通電していた(吸っていた)ということになります。


ちなみに、図中のVmax(ピーク電圧)は、波形中の最も高かった電圧値を示していて、
この場合は、一番高かったところで3.64[V]だったというわけです。
X6のこの波形の場合は、ピーク電圧がどこかずば抜けて高い、ということもないので、
通電中は、常にだいたい3.6[V]がピークだったということが、波形の形からわかります。

Vrmsというのは、RMS:Root mean square という手法で計算された、電圧実効値と呼ばれるものです。
RMSについては、X6の本編記事で触れておこうと思っていますが、海外のVaperの間では、
MODによってはRMSを実際の電圧として使用するべきだという意見が主流になっているようです。

ちなみに、なぜパフボタンを押している間が、帯が並んだ、スノコのように見えるかというと…

【拡大図】
01-00

※上記図に誤記があったため、差し替えました。(周期時間が40[ms]となっていた 15/02/22)


高速で電圧が3.6[V]と0[V]を繰り返しているからです。
このように制御することで、ピーク電圧が3.6[V]でも、時間あたりの
電圧が擬似的に少なくなっている、と考えることができます。
(つまり、間引いてONすることで、3.6[V]よりも弱くすることができる)

このような制御手法を、PWM(pulse width modulation)制御と呼びます。

その他、画像中の1周期や、ON DUTY、 OFF DUTYなどの説明は、
次回以降で、X6の評価記事で解説したいと思います。



いかがでしょうか?もし何かわからないことがあったら、
是非本記事のコメント欄に質問して下さい。


こんにちは!
rujiAです。

さて、2回めの投稿記事となりますが、
今回は、MODの解析に使用している私の計測機器を
紹介したいと思います。 


主に使っている計測機器は、下記3点になります。
・USBオシロスコープ
・計測用改造アトマイザ
・擬似コイル


【USBオシロスコープ】
 SANY0013
HANTEK 1008というオシロスコープです。
こちらのサイトで買いました。
16800円で、8chかつマイクロセックオーダーの計測ができる優れ物です。

サンプリングレートが、普通のオシロスコープに比べれば荒いですが、
映像解析とかの用途でなければ、十分すぎます。

Vapeの計測は基本的にアトマイザの+/-だけなので1chだけで完結してしまうので
あまり関係ありませんが、8chというチャンネル数の多さが最大の特徴です。

まともなオシロでは、4chもあれば20万円を超えてしまいますからね…


【計測用改造アトマイザ】
SANY0009

これは、MODを擬似コイルと接続したり、
信号線を取り出してオシロスコープで読み込ませたりするための
治具になります。
V2アトマイザを改造したものです。
このV2アトマイザは、ヤフオクで買ったX6についてきたやつだったかな?
最近は、直ドリメインで吸っていて、もう使うことはないと思ったので、
迷わず改造しました。


【擬似コイル】
SANY0011
メタルクラッド抵抗で作成した、コイルのかわりの負荷になります。
計測当初は、本物のコイルで計測していたのですが、
計測時にコイルが暑くなりすぎてプローブが溶けるというお馬鹿なミスを
やらかしてから、必要と考えて作成しました。

現在は、この擬似コイルを使って、0.5./1.0/1.5[Ω]の抵抗を再現することができます。
アルミの台座がヒートシンクも兼ねているので、もう熱に怯える心配もありません。w

と、まぁ以上になります。
見る人が見れば、オシロの選択や、使っている部品なんかで、
私の本業の趣味がどの分野かバレてしまいそうですが…w

次回からは、上記測定機器を使用して、バッテリーMODの評価をしていきたいと思います。










 

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